『絵札』セッター・J・クローヴァー、反逆罪で逮捕―
ニュースはまたたくまにイレク=ヴァド王国へ広がり、隣国のウルクール共和国はでそのニュースは伝わった。
それほどまでに大きなニュースだったのである。絵札の逮捕は。絵札の反逆は。
ルルスたちが、傷の手当やら取り調べやら、様々な事を消化し、やっと、解放されたのは、2日後だった。
「ご苦労だったな、4人とも」
城の外までクルスニクが送り届けてくれた。まだ包帯を巻いている傷が痛々しいが、だいぶ治ってきているらしい。
「セリスさんは大丈夫ですか?」
「ああ、軽傷だったからな、もう私より状態は良いほうなんじゃないか」
クルスニクは苦笑する。
「みんな、これからどうするんだ?」
「クルスニクさんはどうします?」
「私か?はは…私は、またいつもの日常に戻るだけだ」
クルスニクはきびすを返して城へ戻っていく。
「それでは、今日も騎士団の仕事があるのでな。縁があったらまた、会おう」
「あ、はい!お世話になりました!!」
「ところでみんな!聞いてくれ…実は俺はここでさよならだ」
「え?何で?!」
「俺はルルスとまだ決着を着けちゃあいない。だが、今の俺にコイツを倒せるとは思えない…だから、俺は武者修行の旅に出る!!」
決着―初めて会ったとき、グレィがコテンパンにやられた時の事だろう。
「貴方、本当のバカ…ですわね」
「うるっせえ!!」
「理解できませんわ」
「お前に理解してもらう必要なんて無ぇ!とにかく!俺は力を付けるんだ!!」
「なるほど。寂しくなるな、グレィ」
「ああ、俺もだ。…だが、いつか必ず帰ってきてお前を倒す!!サシだからな!!水攻撃は無しだぞ!!じゃあな、ルルス!!」
グレィは走り去った。最後まで熱い男だった。
「ところで…あっちの方向は砂漠しか無いが」
「砂漠で修行するのかな?」
「………バカですわね」
「ところで、ルクリアはどうする?」
「私は、一旦魔界に帰りますわ」
「え?!ルクリアちゃんともお別れ…になっちゃうの?」
「いえ、そうじゃありませんわ、ちゃんとすぐにこちらに戻ってきます。ただ、あまりあちらの方々を心配させたくは無いのです」
「そっか。じゃあ、ちょっとだけお別れだね」
「それでは、一足先に…ごめんあそばせ!」
ルクリアは街道のほうへ消えていった。
「ティファはどうする」
「あたし?あたしは、…うーん」
「酒場に帰ってやれよ」
「うん、まあ、帰る事は帰るけどー」
「けど、何だ」
「あたしね。………冒険が楽しくなってきたみたい」
「……………………え?」
「だから、あたしは、まだまだ旅を続けるよ?」
「…………」
「どしたの?」
ルルスは黙り込んでしまう。
「ふう…僕も同じ事考えてた」
「え?!」
「僕もな、なんか…こうやって旅をしてるのが性に合ってるみたいだ」
「ルルスも?」
「ああ」
「それじゃあ、一緒に行く?」
「一緒がいいか?」
「当たり前じゃん!」
「分かった。じゃあ、行くか、一緒に」
「待った!!ちょっと待ってよルルス」
「ん?」
「ルルスは、一旦お母さんの所に帰りなさいよ!!とりあえず、あの件は解決したんだし!!」
「あぁ、うん、そうだった。忘れる所だったな」
「じゃあ、ここでお別れ…かな…あたしたちも」
「すぐにまた会えるだろ!」
「グレィとも、ルクリアとも?」
「ああ、また会えるって。あいつらもそう言ってただろ?」
「そうだね。じゃあ…ルルス、またね!!」
「ああ、またな!」
少年少女達の旅は、ここで一旦の終結を迎える事となる―
彼らが再会したとき、また新たな物語が紡がれるだろう。
閃光のルルス 螺旋の絵札 糸冬